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通信の仕組みについて 階層とは、それぞれが別のプログラムによって処理されることと考えてよい。例えば、上位の階層のプログラムから下位の階層のプログラムへデータ送信が依頼され、渡されたデータに必要な処理が施された後、さらにその下位の階層へデータが渡されて送信が行われる……という動作だ。そして、受信したデータはより上位の階層のプログラムへと転送され、最終的に必要としているユーザーアプリケーションが受け取る。各階層で処理を行うプログラムは、多くの場合OSの一機能として実装されているので、ユーザーが意識することはほとんどないだろう。 また、上の階層であればあるほど通信できる範囲が広くなるという特徴もある。最上位の「アプリケーション」層では、通信先マシンの対象アプリケーションと直接通信を行うことになる。ところが、最下位の物理層では、単に最も近くのネットワーク機器(ハブやルータなど)と通信を行っているにすぎない。それより先のマシンとの通信を制御しているのは、物理層より上位の階層なのである。つまり、こうした小さな通信が取りまとまって、アプリケーション間の通信を実現しているのだ。 ルーティングとは、こうした「小さな通信」を橋渡しして、より大きな通信を実現する機能だと考えよう。 引用元
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第13話 南西太平洋軍 1482年 1月19日 カリフォルニア州サンディエゴ 午前7時 空は雲に覆われており、見る人にとってはどこか憂鬱な気分を誘う天気だ。 しかし、人はぞれぞれで、空を見て顔をしかめる者もいれば、そんなものはどうでも良いとばかりに張り切って仕事に励む者もいる。 サンディエゴ軍港内に建てられているとある2階建ての宿舎に、1台の車が向かって来た。 宿舎の前には、佐官以上の階級章をつけた陸軍軍人や、小銃を構えて待っている兵が多数見受けられた。 車はスピードを落とし、宿舎の側に来ると、玄関の前で停止した。 「テーンハァッ!(気をつけ!)」 どこからか、気合の入った声が辺りに響き、小銃を構えた兵が直立不動の態勢で、捧げ銃を行う。 後部座席のドアが開き、そこから将軍の階級章をつけた男が出てきた。 将校たちが敬礼でその男を出迎えた。 「お待ちしておりました、司令官閣下。」 待っていた将兵の中で、一番階級の大きい男が出迎えた。 出迎えられた男、ドワイト・アイゼンハワー中将は、温厚で人懐こそうな顔に微笑を浮かべた。 「出迎えご苦労。私にはおあつらえ向きの出迎えだよ。」 アイゼンハワー中将は答礼しながらそう言った。 「本当はもっと多くの人員で出迎えようと思ったのですが。」 「今は戦時中だ。将兵にもそれぞれの役割があるんだから、このような出迎えには少数でやるのがちょうど良い。」 アイゼンハワーは参謀長のハリー・コナー准将にそう言いながら、臨時に設けられた南西太平洋軍の司令部に入って行った。 アイゼンハワーは1890年にカンザス州に生まれた。 軍歴は1911年の陸軍士官学校に入学した時から始まった。 年齢の割には、昇進は早いとは言えず、1930年あたりから昇進はストップした。 しかし、ダグラス・マッカーサー大将の主任補佐武官を務めた時に中佐に昇進し、再び階級が上がり始めた。 そして2週間前の1月5日、彼は陸軍中将に昇進し、南西太平洋軍司令官に任命された。 彼は人柄が良く、部下にも慕われている。 部下の中には、影でアイクと愛称をつけている者もおり、陸軍内では少し知られた人物である。 臨時司令部の中に入ると、彼は早速、南西太平洋軍の編成内容を確認する事にした。 「まず、南大陸に派遣される陸軍地上部隊は?」 彼の言葉に、情報参謀が反応し、用意していた紙を読み上げた。 「まず第1軍団ですが、第1軍団は第7歩兵師団及び第27歩兵師団、第1機甲師団の3個師団です。 次に第2軍団が第23歩兵師団、第2機甲師団となっております。人員総数は88000人となっています。 航空部隊は第3航空軍の第398戦闘航空隊、第83戦闘航空隊、第12爆撃航空隊の計364機であります。」 「そのうちの第1陣となる第1軍団が、3月に出発する言う訳か。海兵隊の編成はどうなっている?」 彼は通信参謀に再び聞いてみた。 南西太平洋軍は1月の5日に編成され、各地から南大陸に派遣される部隊が慌しくサンディエゴに移動しつつある。 準備は未だに終えてはおらず、現状では第1軍団の第7歩兵師団が、やっと編成を終えてサンディエゴに迎えると言う状況だ。 唯一、航空部隊は、一部が手早く編成を終えたため、第3航空軍の第83戦闘航空隊がヴィルフレイングに派遣される事になった。 南西太平洋軍には、陸軍の他にも、海兵隊の師団や航空隊が加わり、総兵力では20万近い兵員が、年末までには南大陸に派遣される。 南西太平洋軍の編成 司令官 ドワイト・アイゼンハワー中将 第1軍団 ビーン・マッキンタイア中将 第7歩兵師団 第27歩兵師団 第1機甲師団 第3軍団 オマリー・ブラッドリー中将 第2機甲師団 第23歩兵師団 第3航空軍 司令官ケネス・コール少将 第398戦闘航空隊 P-40ウォーホーク74機 P-39エアコブラ36機 第83戦闘航空隊 P-40ウォーホーク62機 P-39エアコブラ36機 P-38ライトニング12機 第12爆撃航空隊 B-17フライングフォートレス34機 B-25ミッチェル86機 A-20ハボック24機 第1海兵軍団 第1海兵師団 第2海兵師団 第1海兵航空団 第119海兵航空隊 VMF-24F4Fワイルドキャット64機 VMB-12SB2Uヴィンジゲーター24機 第127海兵航空隊 VMF-25F4Fワイルドキャット52機 VMB-16SBDドーントレス24機 VMB-21SB2Uヴィンジゲーター18機 「平時編成から戦時編成に移行したばかりですので、準備に時間を取られる結果となりました。」 「それは仕方ない。」 アイゼンハワー中将は大きく頷いた。 「むしろ、3月に兵員を南大陸に送れる事は評価に値する。本当なら、第1軍団の派遣も5月になる予定だったからな。」 遠征軍の派遣には、色々と準備がかかるものだ。 一定期間分の弾薬、衣類、食料はもちろん、基地建設用の資材や雑品等の各種物資を揃えるには、 大工業国アメリとはいえ、戦時体制に移行したばかりなので、1ヶ月そこらで定数量を確保し、集めるのは容易ではない。 それが、派遣軍の規模が大きければ大きいほど、準備期間はそれに比例して伸びて行く。 この作業を最初から始めると、普通に3~5ヶ月、下手すれば半年ほどは待たねばならない。 しかし、アイゼンハワー中将や幕僚達は、陸軍省や各基地、各州の生産工場を回って、なんとか間に合わせてくれと頼み込んで来た。 中には相手側と押し問答を繰り返し、つかみ合い寸前の激論に発展する事もしばしばであったが、 努力の甲斐あって、3月頃には一部の兵力を南大陸に派遣する目処が付いた。 「第1軍団は3月、第2軍団は7月に順次派遣される予定です。 遅くても、8月中か、最悪でも9月に初旬には、南西太平洋軍は全軍が南大陸に派遣できるでしょう。」 「あちらこちら回った甲斐があったものだ。お陰で少しは気が楽になったよ。」 アイゼンハワーはニヤリと笑みを浮かべた。 「ところで、問題の南大陸の戦況はどうなっている?」 「戦況は、依然としてシホールアンル軍が有利との情報が届いています。」 参謀長が答えた。 「しかし、シホールアンル側の侵攻スピードは1ヶ月前と比べて大幅に落ちており、 現在、最先頭がカレアント公国のホリウングより南20マイルの位置で反撃にあっており、昨日は前線の後退は500メートルに抑えられたようです。」 「南大陸の友軍はかなり頑張っているな。」 アイゼンハワー中将は満足したように頷く。 「最初、シホールアンル軍の快進撃を聞いてから、これは派遣軍を送っても一緒に飲まれてしまうのではないか? と思ってしまったが、今ではそう思った自分が恥ずかしい。」 「この粘りこそが、南大陸連合軍の本来の姿かもしれませんな。 彼らは初戦で手痛い敗北を被りましたが、今ではある程度戦えるレベルにまで達しています。」 「彼らの奮闘振りには、頭が下がるよ。だが、陸戦ではほぼ互角の南大陸軍も、航空兵力や海上兵力ではシホールアンルに及ばない。 その不足している兵力を、一刻も早く南大陸に送らねば。」 従兵がコーヒーを持ってきた。アイゼンハワーは礼を言って、コーヒーを口に含む。 コーヒーは苦味がやや強かった。 「彼らのスケジュールを乱すきっかけを作ったのは、我が合衆国の海軍だが、敵の侵攻を食い止めているのは南大陸軍だ。 今も、あの太平洋の向こうでは、彼らはワイバーンや敵の猛功にじっと耐えているに違いない。」 アイゼンハワー中将は、窓に歩み寄った。窓には、軍港の様子が見え、その奥の太平洋も見渡せた。 そして、太平洋の向こう側には、今も必死の防戦を繰り返す南大陸軍がいる。 「彼らが捻出した時間を、最大限に有効活用しなければな。」 彼は改めて、南西太平洋軍の司令官として意を決した。 実質的に、南西太平洋軍の先鋒を務めたのは航空部隊であった。 第3航空軍の第83戦闘航空隊は、帰還したばかりの護衛空母ロングアイランドの甲板にP-40戦闘機2個中隊半、 30機が乗せられ、残りは分解され、輸送船に分譲してヴィルフレイングに向かっていった。 1482年 1月21日 ニューヨーク州 ニューヨーク州にある造船会社の中で有数の規模を持つトライドッグ社ニューポートニューズ造船所は、今活気に満ちていた。 海軍側から注文の入った軍艦や輸送船は、それぞれのドックで建造されており、工事関係者は急増した仕事量に誰もが目を回していた。 ひっきりなしに溶接の音や、ハンマーが叩く音などが聞こえ、新人やこの造船所に始めてきた者は、余りの騒音に顔をしかめ、 とある者は耳を押さえたい気持ちに駆られる。 この活気に満ちているドック群だが、とあるドッグでは、いつもと違う光景が見られていた。 そのドックには、全長の長い船が台に載せられており、船体部分はほぼ完成に近く、 船体に開けられた穴にようやくボイラーやスクリュー等の機械設備を入れようとしていた。 本来ならば、これらの機械設備は既に入っていてもおかしくないのだが、1ヶ月ほど前の12月20日、突然工事中止の命令が下った。 戦艦アイオワの工事主任であるアルフレッド・カイテルは、その日、会社のお偉方を激しく呪った。 「何で、今更設計の終了した軍艦を改めて設計しなおすのかねぇ。連中、頭がどうかしてる。」 彼はとある休日に、同僚仲間と一緒に行ったバーで、工事中止を下した会社の上司や海軍側を酷く罵った。 アイオワ級戦艦は1938年の時点で既に設計を終了し、工事が開始されている。 開戦後には労働者や搬入される資材も増えて、進水期日も早まる事が期待されたが、突然の工事中止でそれも水の泡になった。 だが、今ではあまりお偉方や海軍側をそれほど憎んではいない。 元々、アイオワ級は高速重武装の戦艦として完成するはずだった。 だが、カイテルは徐々に出来上がっていくアイオワを見て、期待する半面、どこか不安もあった。 船と言うのは幅と長さのバランスが整えば、航行時に安定性が良くなる。 カイテルは元々漁師であり、どのような船がスピードも出せ、安定性を保てるか分かっていた。 アイオワ級はどちらかというと、細い割には全長が長く、人間に例えると、痩せっぽちで早さが取り柄の人間に見えた。 (高速航行時には安定性が悪そうだな) 彼は日頃からそう思っていた。しかし、それも工事が進むにつれて風化していった。 今、彼は造船所の副主任や、技術者達と共に改修箇所や設計変更箇所を見て回っている。 先月から改修、設計変更箇所の工事から始めたら、就役はどこまで伸びるのか、それの調査に当たっている。 流石に、艦体の大きな艦だけはあり、関係箇所を調査するには時間が掛かった。 「鋼板の準備数は、これで決まりました。後は進水予定日がいつになるか推測してみるだけです。」 カイテルは紙に文字を書き終えると、関係者らにそう言い、21日の午前の仕事はこれで終わった。 4時間後の午後3時、カイテル主任らが最終的な進水予定日、竣工予定日の推定を出す事が出来た。 カイテルは造船所長に、立った今書き上げた文書を持ち込んで行った。 入ってきた時、所長は電話で誰かとやり取りしていた。 電話のやり取りは、彼らが入って1分後に終わった。 「やあカイテル主任。工事の期日予定日は推定できたか?」 所長は粋のいい声で聞いてきた。 「ええ、推定できました。この文書に書いてあります。」 「どれ、見せてくれ。」 紙を取り出してしばらくは、所長は何も言わずに読み続けた。 紙を渡されてから5分が経ち、所長がおもむろに口を開いた。 「進水予定が今年の12月1日・・・・・竣工予定日が43年の10月か。半年以上も完成が伸びてしまったな。」 所長は胸ポケットから眼鏡を取り出して、それをかけてから、差し出された紙に目を通した。 所長は大きくため息をついた。 本来ならば、竣工予定日は来年の2月末に予定されていたのだ。 それが一気に半年以上も伸びたのだ。 他の艦艇の建造計画も入っている今となっては、余計な仕事を増やされたような感がある。 「でも、これで安定性のある船が作れますよ。」 カイテルは自信ありげな口調で言い放った。 「君もそう思うかね?」 「ええ、思います。余計な仕事が入ってきたような感じはしますが、あのまま完成していれば、 アイオワ級はスピードは速いが、安定性に欠ける船として評判を落としていたでしょう。」 「分かっているじゃないか。」 所長はわが意を得たりといった表情で席から立ち上がった。 「私としても、こんな安定性の欠ける戦艦を作ると聞かされた時は、海軍も落ちたなと思ったが、 ようやくいい戦艦が作れるようになった。これも、パナマ運河がなくなったお陰だな。」 そう言って、所長は高笑いを挙げた。 設計変更となれば、現場に余計な負担をかけてしまう事になる。 だが、今回の事件では、彼らのみならず、アイオワ級の設計変更を喜ぶ者は、憎む者よりも遥かに多かった。 物を作る職人というものは、誰しも評判がよく、皆に信頼されるような物を作りたいと思うものである。 「アイオワのこの推定日は、ある程度建造行程が進んでいたからあのような数字が出たのですが、 アイオワより建造行程の進んでいないニュージャージーやミズーリ、ウィスコンシンなどはアイオワよりは比較的、工事しやすいでしょう。」 「2度手間をやる箇所が少なくなるからな。 むしろ、後に建造される艦のほうが、アイオワの建造日数より少ないかもしれん。」 所長はそう言ったが、彼は余計に増えた建造日数を気にする事はなく、逆にいい戦艦を作れると言う喜びに満たされていた。 現在、建造が予定されているアイオワ級戦艦は、 アイオワ、ニュージャージー、ミズーリ、ウィスコンシン、ケンタッキー、モンタナ、イリノイの7隻である。 ケンタッキー、モンタナ、イリノイは1943年初頭から建造が開始される予定で、これらの担当の建造主任が目下、建造に必要な鋼材の下調べや準備に取り掛かっている。 「あと1年と10ヶ月ほどで、世界最強の戦艦が作れるぞ。」 「あと1年10ヶ月ですか。果たして、長いのか、短いのか。」 カイテル主任はしんみりとした表情で呟くが、 「短いさ。平時ならもっとかかるぞ。むしろ、これだけの日数で完成するの事は非常にいい事だ。」 所長は満面の笑みを浮かべながら言った。 こうしてアイオワ級戦艦は、建造関係者の喜びや、苦情を交えながらも、海に出るまでの短くない時間を、余計に船台上で過ごす事になる。 一方でアラスカ級巡洋戦艦は、4隻全てが建造を開始された。 それぞれの名前は、アラスカ、コンステレーション、コンスティチューション、トライデントと名付けられ、 1943年末から44年の中盤に次々と就役する予定だ。 アイオワ級、アラスカ級のみならず、これからの主役たるエセックス級やその他の艦艇も、急ピッチで建造されつつある。 軍艦のみならず、航空機、戦車、軍用者等の製造、開発もフルスピードで行われていた。 開戦から2ヶ月近く経ち、アメリカの工業力は、ようやくフル稼働し始めた。 1482年1月26日午後6時 バルランド王国ヴィルフレイング コーデル・ハル国務長官は、1月7日にグレンキア、1月12日にミスリアルを訪問し、 両国の元首と会談した後、1月23日には輸送船に乗って本国に帰っていった。 その間、ヴィルフレイングには、完成したばかりの飛行場に航空機が駐留し始めた。 護衛空母ロングアイランドと、輸送船に乗せられて来た、第3航空軍の第83戦闘航空隊は、25日の早朝に到着するや、 早速陸揚げされ、その日の夕方までには全機が飛行場に展開できた。 そして今日の早朝には、新たに第1海兵航空団の第119海兵航空隊の一部である、VMF-24の64機の戦闘機が進出し、 完成したばかりのヴィルフレイング第1飛行場の滑走路脇は陸軍、海兵隊の航空機で埋まった。 この頃には、簡単なレジャー施設や店なども完成しており、寂れた町であったヴィルフレイングは、僅かながら賑わいを取り戻していた。 そんな中、ラウス・クレーゲルは、ヴィルフレイングの空き地だった場所を歩き回っていた。 「すげえな~・・・・・・たった1ヶ月かそこらで、ちっこい町を作りやがった・・・・」 建設されたレジャー施設群を全て見回った彼は、思わず度肝を抜かれていた。 レジャー施設の中には、アメリカ人が行う、野球や、テニスというスポーツを行う場所も取られていた。 それ以外にも、飲み屋のような建物や、別の場所には病院もあり、必要なものはほとんど揃えられていた。 元々、空き地が呆れるほど大きかった場所だったが、その空き地を、アメリカ人達は有効活用して、娯楽施設等を建設したのだ。 それも、1ヶ月少々しか経っていない時間で。 「物持ちが良いもんだ。そこらの国とは全然次元が違う。」 ラウスは眠たそうな声でそう呟いた。 その時、 「やあ、ラウス君じゃないか!」 後ろから聞き覚えのある声が響いた。 振り返ると、そこにはハルゼー中将と別の仕官がいた。 「あっ、ハルゼー提督。」 「君も散歩かね?」 「まあ、そんな所っすかね。」 ふと、彼はハルゼーの右隣にいる士官と目が合った。 どことなく知的な感じがし、端正な顔立ちである。会議で1、2度見たことがある。 「あなたは、スプルーアンス提督ですね?」 「そうだが。」 スプルーアンスは抑揚のない声で答えた。 「ラウス君、これからメシでも食いに行かんかね?」 「メシですか?」 いいです、と断ろうとしたが、いきなり腹の虫がなってしまった。 「正直だな。」 「まあ、そのようで。」 スプルーアンスの言葉に、ラウスはやや照れながら返事する。 思えば、ラウスは今日、首都からここに来たばかりで、昼食をとっていない事に気が付いた。 首都から戻ってきたのは午後1時ぐらいで、普通なら昼食を取っているだろうと、誰もが思うだろうが、 ラウスは馬車でもずっと眠り、馬車から降りた後も、割り当てられた宿舎で午後4時まで爆睡していた。 今日は休日であったため、彼はとことん寝てやろうと、昼の大半を夢の世界で過ごしたのである。 「決まりだな。ではメシだ。」 ハルゼーは張りのある声音そう言うと、先頭に立って歩き始めた。 店内には非番の兵達で賑わっており、店中に肉の焼ける音やそれぞれの話し声が混ざり合っている。 「ラウス君、肉は好きかね?」 席に座るなり、ハルゼーはラウスに尋ねた。 「肉ですか・・・・・あまり食べないですけど、嫌いではないです。」 「どんな生き物の肉を食べた事がある?」 「え~と・・・・豚肉とか、キジェント肉とか・・・・」 「キジェント肉?」 ハルゼーが頓狂な声を上げる。 「ビル、きっとここの大陸だけの生き物の肉だろう。そのキジェント肉というのはなんだ?」 スプルーアンスが質問した。 「あっ、ちょうどキジェントという生き物の絵がありますけど、見ますか?」 「ちょっと見せてくれ。」 ハルゼーは頼み込む。 ラウスは二つ返事で快諾し、懐からキジェントという生き物の絵を取った。 ハルゼーはそれを手にとって見る。 「な、なんだいこりゃあ!?」 彼は仰天した。 なんと、そのキジェントという生き物は、ムカデに似た毛虫のような生き物だった。 見るからにして気持ち悪い。 「見た目に反して、かなり美味っすよ。」 「馬鹿野郎。なんてゲテモノを見せてくれたんだ。」 彼は思わず目を覆いそうになった。 心底気持ち悪がるハルゼーに対し、スプルーアンスはあまり驚かなかった。 「こいつは、またまた驚きの発見だな。この絵は、虫嫌いの者に見せたら跳び上がる事間違い無しだろう。 ふむ、上手く描けているな。」 「あっ、それ自分が描いたんですよ。ちなみにキジェントの肉料理は、バルランドでちょっとしたブームになってるんですよ。 とくにキジェントの下腹部分とか上手いですよ。」 ハルゼーはラウスの顔をまじまじと見つめた。 「せめて、もう少し漫画チックに書いてくれんかねぇ。こんなリアルなゲテモノ絵なんぞ見たくもない。」 この絵で一気に機嫌が悪くなったのか、ハルゼーはややけんか腰の口調で言った。 「漫画チック?・・・・・ちょっと可愛げなものという意味ですか?ならばここに別の生き物の」 「もういい、分かったから!な?」 手さげカバンをまさぐるラウスを、ハルゼーは慌てて制止した。 「絵はまた次の機会に見せてもらうとして、飲み物でも飲もうかね。レイ、君は何がいい?」 「私はコーラで結構だ。ラウス君はドリンクは何が良いかな?」 「種類はビールにウィスキー、ソフトドリンクはコーラとオレンジジュースだ。 君も酒が飲める年だから、ビールを飲まんか?」 「ビールですか。それってうまいですか?」 「うまいに決まってるじゃないか。さあ、どうする?」 ラウスはすぐに、 「じゃあ、ビールって奴を飲んでみます。」 ビールを頼んだ。 3人の中で、コーラはスプルーアンスが、ビールはラウスとハルゼーが頼んだ。 しばらくして飲み物が渡され、その5秒後には頼んでおいたステーキが届いた。 ステーキを置かれた瞬間、ラウスはそのボリュームに目を丸くした。 彼は適当にハルゼーと同じものを頼んだのだが・・・・・・ (ちょっと・・・・・まずったなぁ) 早速後悔した。 ジュージューと鳴る鉄板上のステーキ肉のボリュームは、普段彼が食べる量の2倍近くはあった。 ラウスは少し小食であり、肉も1月に2回食べれるか食べられないかだ。 だが、眼前のステーキ肉は、彼からしてみれば余りにも大きかった。 「どうしたんだ?早く食べんと冷えるぞ?」 既にステーキにがっついているハルゼーがそう言ってきた。 ちなみに、スプルーアンスの肉の量は、この肉と比べて、2回り小さかった。 スプルーアンスがラウスの視線に気付くと、そっと耳打ちしてきた。 「無理して全部食べんでも良いぞ。腹八部だ。」 そういい終えて、スプルーアンスは再び食べ始めた。 「で、では、いただきます。」 ラウスはまずナイフで肉を切って、フォークでそれを口に放り込んだ。味はかなり良い。 「ハルゼー提督、この肉はなかなかうまいですね。」 「そうか。そう言ってくれると、誘ったわしも嬉しいよ。」 そう言って、ハルゼーは笑みを浮かべた。 ラウスは後悔していた。 食べ始めてから40分が経過し、なんとかステーキを食べきろうとしたが、あと2割を残してギブアップした。 一方のハルゼーはとっくに食べ終わっており、うまそうにビールを飲んでいた。 「も、もう限界っす。」 「初めてにしては上出来だよ。ほら、ビールで喉を潤せ。」 ハルゼーはそう言うが、彼としては苦しい満腹感のあまり、何も口にしたくなかった。 ビールは半分ほど残っている。 彼は初めてビールと言う酒を飲んだが、苦味はあるもののかなり上手かった。 しかし、胃袋の要領には限界があった。 「腹が膨れたところで、すぐに動いても気持ち悪くなるばかりだ。少し休もう。」 スプルーアンスの言葉に、ハルゼーとラウスは頷いた。 「あの、ちょっとばかり、うっ・・・あ、すいません。ちょっと聞いていいでしょうか?」 ラウスは2人を交互に見ながら聞いてみた。 「アメリカは、本格的な反撃を始めるのはいつ頃と決めているのですか?」 「本格的な反撃か。」 ハルゼーは、途端に真剣な表情になって考え込む。 「来年の中盤頃だろうな。」 「来年の中盤ですか。何か時間が掛かりすぎていませんか?」 「ラウス君、これでも少し早いぐらいだよ。」 スプルーアンスが言った。 「今、アメリカは戦時体制に入っているが、開戦からまだ2ヶ月と経っていない。 本格的な反撃をするには、そのための準備期間が必要なのだ。」 「そうだ。」 ハルゼーは頷きながら言う。 「特に陸上兵力に関しては、必要な物を揃えるにはかなりの時間が掛かる。 まあ、無理に1ヶ月や2ヶ月で直ぐに現場に送れない事もないが。」 「なんでそれをやらないのです?」 「必要な重火器の弾薬とか、部隊の規模を削ってとかしか、早期に派遣できないのさ。 早期に派遣して、一時は優勢を確保しても、物が足りなければまたぞろ敵に押し返されて、 せっかく確保した地域をまた敵の手に委ねてしまう。それが繰り返されたら戦争はだらだらと続いてしまう。」 「空母機動部隊があるじゃないですか。それに強力な戦艦部隊も。あの艦隊さえいれば、どんな敵にも有効だと思いますけど。」 「暴れまわる事はできるが、占領は出来ない。」 スプルーアンスが言う。 「いくら爆撃で山を焼こうが、艦砲射撃で地面を耕そうが、海軍の軍艦にできるのはそれだけだ。 結局は地上軍の手で敵地を占領しないと、それらの努力は全く無駄になってしまう。その最後の役割をこなす地上軍が頼りにならなければ、 戦争と言うものは全く先に進まないのだよ。」 「なるほど・・・・・地上軍には万全を尽くしてもらいたいから、準備に時間をかけるのですね。」 ラウスは納得してそう言った。 「その通り。」 ハルゼーは満足したように頷いた。 「流石はバルランドでも有数なベテラン魔道師だ。物分りが良いな。」 スプルーアンスも、少しばかり感心したような口調で言う。 「とりあえず、南西太平洋軍の主力が来る3月までは、南大陸軍に頑張ってもらわねばな。 俺は一介の艦隊司令官に過ぎないが、シホット共の侵攻を遅らせるためには、何だってやるよ。」 気が付けば、外は晴れていた。 心地よい陽光が、フェイレの体に当たり、冷え切った体に温かみが戻る。 各地を転々としている彼女にとって、久しぶりの太陽は眩しかった。 足に何かが絡みついた。 「?」 フェイレは足に引っ掛かった紙を取る。 再び丸めて、そこらに放り投げようとした時、彼女は紙の文面に目を曳かれた。 「シホールアンル艦隊、アメリカ艦隊の攻撃を受け、撃退される!」 一際書体の大きい文字が、見出しを飾り、文面にはその見出しの詳細が載っていた。 「アメ・・・リカ?」 初めて聞く言葉だ。そもそも、アメリカと言う軍は、バルランドにあったのか? 「何かの新兵器を開発したのかな。」 彼女は、アメリカ軍と言う言葉を繰り返し口にした。 だが、彼女の脳裏にはアメリカ軍のイメージは全く沸かなかった。 だが、ここ最近のバルランドの大衆紙にしては、この記事は、これまでの憂鬱な報道内容とは一変して、 アメリカ軍の勝利を喜ぶかのような文字が書かれている。 「私には・・・・関係のない事。」 すぐに興味をなくした彼女は、新聞を草むらに放り投げると、そのまま道なき道を歩き始めた。 彼女に決められた寝床はない。 寝床は、木の上であったり、廃屋だったり、洞窟の中だったり、様々だ。 だが、彼女はこの孤独な一人旅を辞めようとは思わなかった。 「あたしは、自分の能力を守る。例え、野垂れ死にしようが、最後まで自分らしく・・・・」 そう呟きながら、フェイレは山道を歩き続けた。
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AJNネットワークのサッカー中継一覧 局 タイトル 企画 HNB Live!コンサドーレ TSD TSDハイパースタジアム 〇 TNG アルビレックスアワー △ HRT HRT FOOTBALL Live! △ TNK TNK JリーグLive! MKN MKN Justスタジアム 〇 TCC Teletube FOOTBALL Hours 〇 TKI J's Live Kinki 〇 CST CST スーパーLiveスタジアム 〇 TFC TFCスタジアム J 〇 企画〇の地域は同タイトルで放送エリア内子局のサッカー中継も統一している。 MKN…山梨局「JustスタジアムVFK」 TCC…静岡局「SHIZUOKA FOOTBALL Hours」 TKI…KST(京都・滋賀)「J's Live SANGA」 CST…県ごとに「(チーム名)スーパーLive」と銘打たれている。 TSD,TFCは地域全県にJチームがあることから子局名でタイトルがつけられている。 HRT北陸テレビは北信越フットボールリーグに至るまでこのタイトルだが、TNG長野局でも「TNG NAGANO FOOTBALL LIVE!」が放映されている。
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焦るな・・・ 今作成中・・・
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NIC? ルータ ハブ リピータ スイッチ ケーブル CPE? SmartBits PBX?
https://w.atwiki.jp/haroperi/pages/33.html
既に割り当てられてるIPアドレスの一覧を表示するバッチファイル・・・もどき
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HUB SWITCH
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2021年度 桝田、永井、梅原担当 何週かごとに担当教員が変わるが、講義の内容は1冊の教科書の内容を順に追っていく。 1週目から8週目までの桝田の担当回では毎回ミニレポートがあり、授業のまとめ、簡単な問題の解答、疑問点などを書いてMoodleに提出する。中間テストもあるが本年はコロナの関係でレポート形式となった。
https://w.atwiki.jp/naganoharu/pages/61.html
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https://w.atwiki.jp/deathjk/pages/18.html
過去問そのままとか死ねばいいのに